2020年改正の保証 改正民法の保証について

投稿日:2022年3月7日 更新日:

保証契約とは、実社会において非常に広範的に利用される形態であるがゆえに多くの形態を有し、その実態は専門家でもなかなか完全に理解することは難しいと言われます。今回はその保証について、いわゆる2020年改正部分を押さえていくこととしましょう。

 

保証とは?

そもそも保証とはなにか?簡単に説明していきます。

保証とスマホなどでうってみると「保証」、「補償」、「保障」と様々なホショウが出てきますがこれらは全て異なったホショウであり、意味も違ってきます。順番に見ていきたいと思います。

「保証」

保証とは保証とは「保証人」「保証書」といった単語に代表されるように人物や物に対する責任を負うものであり、保証とは「責任を負うこと」と理解しましょう。

また、責任を持って「確かだと請け合うこと」という意味も含まれます。

 

「保障」

「安全保障」「社会保障」「人権保障」といった単語に利用される保障は、地位や権利などに害がないように保護して損害を与えない。という意味です。地位や権利の侵害や大きな脅威から身を守ることと言い換えることもできます。

 

「補償」

仮に何らかの損が生じた場合に、損した分だけ埋め合わせをする、ことが補償の意味です。「償う(つぐなう)」という字が含まれている様に、他人や物に与えた損害を金銭などで補った上で償うのが補償です。

今回のテーマは保証です。

保証人や書面による保証書などにより、損害がまだ発生していない段階で損害が発生した際の「保証」の方法を契約によって定めます。

 

基本的なルールは以下の通りです。

  • 保証により契約は必ず書面で行います。

これは民法に定められておる為、例えば口頭で(口約束)保証の約束をしたとしてもこれは効力を生じません。保証の契約は必ず書面でします。(電磁的記録でも可)

  • 保証人と債権者の契約で行います。

主たる債務を保証する保証人と、債権者との間で保証契約を結びます。

この時主たる債務者(債権を発生させた者は保証契約の当事者ではありません。

  • 保証の範囲

主たる債務に関する利息・違約金・損害賠償など元本だけでなくすべての主たる債務に従たるものを含みます。ただし、保証人は自己の保証債務についてのみ、違約金・損害賠償の額を定めることができます。

  • 保証人の資格

保証人の資格は特に制限はありませんが、保証人を立てる義務が存在するときには行為能力者であり、かつ弁済能力を有するものである事を要します。

  • 補充性

保証人には、催告の抗弁権と検索の抗弁権という、抗弁の権利があります

 

・催告の抗弁権とは、債権者が、保証人に対して履行をを請求したときに、まずは主たる債務者に対して請求してくれ!と、言うことができる権利です。

 

・検索の抗弁権とは、債務者の財産に執行することができる財産がある場合に先にそっちに執行しろ!と言うことができる権利です。

こちらはその執行に容易な財産がある事を証明しなくてはいけません。

※連帯保証には上記二つの抗弁は適用されません。

 

ざっとこの様なルールが保証にはあります。ここまで紹介した箇所に改正はありません。

改正点①

保証人による主債務者の相殺権の行使

 

以前の民法は、主債務者が債権者に対して相殺権を有する場合、保証人が相殺権を行使することができましたが、今回の改正では相殺を行使することはできず履行を拒む事ができるまでとなりました。

 

改正民法457条3項

主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

 

今回はここまでです。

 

次回も引き続き改正民法「保証」を見ていきたいと思います。

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