相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律
今回は、長らく続いた不動産登記法の改正点に伴い、新たに創設された法律をご紹介します。最後の大物論点となります。
不動産の相続登記が義務化され、登記をしない者には、10万円の過料という罰則まで設けられました。それに伴い、国民に対して政府はただただ罰則を含ませるだけでなく、簡単に所有権の放棄をすることができる事としました。放棄をした不動産は、国庫に属する事となります。
今回はこの様な大きな法律の新設制度を細かく見ていきたいと思います。
それでは見ていきましょう。
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認にかかる手続き
(承認申請)
第2条 (新設)
1 土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部または一部を取得したものに限る。)は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる。
2 土地が数人の共有に属する場合には、前項の規定による承認の申請(以下「承認申請」という。)は、共有者の全員が共同して行うときに限り、することができる。この場合においては同校の規定にかかわらずその有する共有持分の全部相続等以外の原因により取得した共有者であっても、相続等により共有持分の全部または一部を取得した共有社と共同して、承認申請をすることができる。
概要
前述した通り、今回の改正は「所有者不明土地の発生予防」に繋がる制度です。相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により取得した土地を手放して国庫に帰属させる事を可能とする制度です(法第1条)。ただし管理コスト(固定資産税や、土地建物管理費用の不当な放棄など)を国への押し付けや、土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して、一定の要件を設定し、法務大臣が要件を審査します。
施行時期
この法律は令和3年4月28日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されるとしています。
手続き
手続きとしては、まず法務大臣宛に承認申請をします。
その後、承認が降りた際に申請人は金銭を支払い土地や、建物を国庫に帰属させることができます。
2条の2項は例えば、
A、B、Cの三人での共有している土地であったとしましょう。この時に国庫に帰属させる場合には、A、B、Cが共同して法務大臣あてに承認を申請しなくてはなりません。
仮に、A、B、Cのうち、Aが自分の持分をDさんに贈与したとします。この時、不動産はD、B、Cの共有となります。当然ですが、この時にも全員の承諾(Dの承認も!)がないと国庫帰属させるための申請をすることができません。
この様に原則は全員で処分する事は民法に規定されている通り全員ですることに変わりはありませんが、例外がいくつかあります。
それはま今回の章でまたご紹介していきますので次回、次次回と、まとめてお読みください。
それでは今回はここまでです。