相続土地国庫帰属法②

投稿日:2022年9月15日 更新日:

国庫帰属申請をしても承認する事ができない土地

今回も前回に引き続き、新設された 「相続土地国庫帰属法」 についてです。

前回は、自らが相続した土地を「いらないから国で引き取ってください。」と、承認申請する事ができるようになった新たな制度をご紹介しました。

この背景には土地利用ニーズの低下等により、土地を相続したものの、土地を手放したいと考える方が増加していることと、相続を契機として、望まずに取得してしまった土地の所有者の固定資産税や、管理費などの負担が増しており、管理の不全化を招いていることが発端となっています。

(詳しくは前回の記事と合わせてご覧ください。)

相続土地国庫帰属法①

 

さて、今回はこの新設された「国庫帰属承認制度」を使っても、承認申請する事ができない土地があります。どの様な土地がこの承認申請をする事ができないのかを見ていきたいと思います。

 

それでは早速条文から見ていきましょう。

 

承認申請する事ができない土地

23(新設)

承認申請その土地が次の各号のいずれかに該当するものである時はすることができない。

一 建物の存する土地

二 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

三 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地

四 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第二条第一項に規定する特定有害物資(法務省令で定める基準を超えるものに限る)により汚染されている土地

五 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属または範囲について争いがある土地

 

国庫帰属できるのは土地のみ!?

2条3項のポイントは、建物は国庫帰属させる事ができない点です。土地を国庫に帰属させようにも、その土地上に建物がある時は法務大臣に対して、承認申請をする事ができません。

そのほか、抵当権や質権、先取特権のような担保権はもちろんのこと、地上権や永小作権、地役権のような用益権についても、承認申請をする事はできません。

4項・5項では、放射能汚染廃棄物や産業廃棄物の処理場などに使われている土地や、境界線が確定されていない土地なども、この制度の対象外となっております。

上記をまとめると、通常の管理又は処分をするにあたり、過分の費用または労力を要することが想定される土地は国庫帰属申請する事はできない!と、いうことです。

 

今回は相続土地国庫帰属法2条3項に着目してみました。次回も引き続きこの法律の詳細を見ていきたいと思います。

 

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