相続土地国庫帰属法③

投稿日:2022年9月18日 更新日:

承認申請書等

 

今回も前回に引き続き、相続土地国庫帰属法第3回目となります。

ここまでは、建物や担保権のある土地であったり、用益権の付着した土地には 「国庫帰属申請」 をする事ができない等、共有の場合には全員でする事。などの決まり事をこちらに記しました。

※未だの方は、前回の記事と前々回の記事を合わせてお読みください。

今回は、承認申請書と却下原因について見ていきたいと思います。それでは早速見ていきましょう。

 

承認申請書等 (新設)

3条 承認申請をする者(以下「承認申請者」という。)は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した承認申請書及び法務省令で定める添付書類を法務大臣に提出しなければならない。

 一 承認申請者の氏名又は名称及び住所

 二 承認申請に係る土地の所在、地番、地目及び地積

2項 承認申請者は法務省令で定めるところにより、物価の状況、承認申請に対する審査に要する実費、その他一切の事情を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

以上が新設された条文となっています。

 

 

国庫に帰属させるかどうかは法務大臣によって用件の審査、承認がされます。

実際には審査権限を法務局や地方法務局に委任し、その職員の審査によって法務大臣が決定するという流れだそうです。委任された職員は、申請された土地やその周辺の地域にある土地の実地調査を行ない、必要に応じて申請者やその土地の関係者から事情の聴取、事実の確認をし、追加資料の提供などを求めることができる権限が与えられています。

これらすべての要件を満たした場合に、「承認申請」を許可し、晴れて土地が国庫に帰属されるといった流れになります。

 

承認申請の却下

4条 法務大臣は次に掲げる場合には承認申請を却下しなければならない。

一  承認申請が申請の権限を有しない者の申請によるとき。

二  承認申請が第二条第三項又は前条の規定に違反するとき。

三  承認申請者が正当な理由がないのに第六条の規定による調査に応じないとき

 

二と三について解説します。

 

二項について

こちらのブログで前回ご紹介した2条3項の規定に違反するときとは、例えば「地役権」のような、他人が通路などに利用する土地の場合などが考えられます。

地役権が付着した土地については申請を却下する。と読むことができます。

 

 

3項について

第6条はこの先にまたご紹介しますが、要するに「事実調査に協力しない」ときです。

例えばこの土地は農地なのか?雑種地なのか?いつ転用したのか?などが分かる必要な書面を提出しないときなどが考えられると思われます。

 

この様な、申請の却下事項に該当した場合には遅滞なく法務大臣から却下通知が届く事となります。

 

添付書面

却下されることのない様、添付書面の確認が必要です。

一度却下されると、費用や、時間が掛かり、挙句相続登記の申請義務の期間に(罰則)に触れる可能性も出てきますので、こちらは専門家に依頼し、確実に手続きを終わらせるのが安心でしょう。

 

 

今回はここまでです。

次回は逆に、国が引き取らなければならないケース(帰属させなくてはならない)をご紹介します。

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