相続登記①
今回は不動産登記法の改正についてです。
相続登記の義務化や、登記名義人の氏名、住所変更等の義務化については、以前当ブログでも簡単に触れました。
今回は新たに解ってきたことなどを、もう少し細かく、深く、ご紹介できたらと考えております。それでは早速見ていきましょう。
所有権の登記名義人に係る相続の発生を不動産登記に反映させるための仕組み
相続登記等の申請の義務化
当ブログでは何度もご紹介していますが、今回は条文から見ていきましょう。
(相続等による所有権移転の登記の申請)
第76条の2
所有権の登記名義人について相続の開始があった時は、当該相続による所有権を取得した者は、事故の為に相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければならない。
遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により取得した者も、同様とする。
2 前項前段の規定による登記(民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第4項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければならない。
3 前2項の規定は、代位者その他の物の申請または嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
相続登記が未了であると、所有者不明土地が増える主な原因となります。
不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続の登記の申請をすることを義務づけることにより、正当な理由の無い登記申請が無い場合の10万円以下の過料の罰則を設けました。
個別の事情を丁寧に汲んだ上で、運用を行うため、正当な理由の具体的な類型については通達であらかじめ明確化することが予定されています。
「正当な理由」とは
- 数字相続が発生して相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース。
- 遺言の有効性や遺産の範囲が争われているケース
- 申請義務を負う相続人自身に、重病等がある
などのケースなどが考えられます。
1項の要件 – 主観的起算点とは?
登記申請義務を履行するべき期間の起算点は、自己の為に相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日です。
これは、知らない間に申請の義務違反が生じるとすることは適当ではないと考えられたからです。
相続すべき不動産の存在を知らないケースや、不動産を相続したことは知っていても、具体的に地番などを把握することができていないケースもあり得ることから、単に「自己の為に相続の開始があったことを知った日から」とせず「自己の為に相続の開始があったことを知り、かつ、当該不動産の取得の事実を知った日から」としています。
2項では、遺産分割の結果の申請を義務化する事も法定されています。
法定相続の登記をした後に、遺産分割をした場合において、登記法では更なる登記を要します。
この点においても、登記義務を課しました。
この遺産分割の結果の申請を義務化したことについては、全ての相続人が法定相続分の割合で不動産を共有した状態では相続財産の処分が難しいことが考えられます。
これに対して遺産分割の結果を不動産登記に反映させることができればその後の土地の処分が簡易であることからです。
このように、登記法においては相続登記、その後に行われた遺産分割についても、登記が義務化されたことについて新たに触れました。
今回はここまでとします。
次回も引き続き不動産登記改正の解説をしていきたいと思います^ ^
またお会いしましょう。