不動産登記法その他改正①

投稿日:2022年8月28日 更新日:

登記名義人の特定に係る登記事項の見直し等

 

不動産登記法の改正を長くに渡りご紹介しております。相続登記の義務化や、名変登記の義務化など大きな論点はあらかたお伝えしたつもりではありますが、今回からは、その他の論点として専門家以外の方から見ると、やや細かい改正ではありますが、そちらも押さえていきたいと思っております。

それでは早速見ていきましょう。

 

所有権の登記事項の見直し

(所有権の登記事項)

第73条の2 (新設)

所有権の登記の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一   所有権の登記名義人が法人である時は会社法人等番号(商業登記法第七条に規定する会社法人等番号を言う)その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの

二 所有権の登記名義人が国内に住所を有しない時はその国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの

2項 前項各号に掲げる登記事項についての登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

※以上新設規定となります。

一号から順に見ていきます。

 

会社法人等番号が登記事項となりました。

改正法ではある不動産について、どの法人が所有権の登記名義人として記録されているのかを厳格に特定し、その真性を確保する観点から、所有権の登記名義人が法人である場合には、会社法人等番号を登記事項とされています。

 

対象となる登記は、「所有権の登記のみであり、所有権以外の権利の登記は対象となりません。また、施行後に新たに所有権の登記名義人となる場合には、その登記申請時に会社法人等番号も登記事項として申請することとなります。

 

1項二号について

昨今国際化の進展の下で、海外在留邦人の増加や海外投資家による我が国への不動産投資の増加により、不動産の所有者が国内に住所を有しないケースが増加しつつあります。

こうしたケースにおける所有者へのアクセスは、基本的に登記記録上の氏名・住所を手がかりにする他ありませんでした。

我が国のように住所の公示制度が高度に整備された国は少ないことなどから、その所在の把握や連絡を取ることに困難を伴うことが少なく無いとの指摘がなされていました。所有権の登記名義人が外国居住者である場合については住基ネット等との連携によっても、住所等の変更情報を取得することができないため円滑に連絡をとるための特別な仕組みが必要であると考えられました。

そこで所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、国内における連絡先となった者の氏名・住所を登記することとされました。

対象

  • こちらも対象となる登記は所有権の登記のみです。

②国内に住所を有しない所有権の登記名義人には、自然人だけでなく、法人も含まれます。また、外国に住所を有する外国人だけでなく外国に住所を有する日本人も含まれます。

  • 国内連絡先の主体は自然人でも法人でも構いません。法務省の資料においては「不動産関連業者」「司法書士等」が連絡先となることを想定されています。
  • この制度が定着するまでの間は連絡先が無い旨の登記も許容される予定です。この場合「連絡先なし」と登記申請情報に記載すること。と考えられています

 

今回はここまでです。次回も引き続きご覧ください。

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