相続改正③

投稿日:2022年7月12日 更新日:

相続の放棄をした者による管理

 

相続の改正点の二つ目である今回は、「相続放棄した者に関しての規定」です。

旧法では、相続の放棄をした者は、相続財産の管理を継続しなければならないとされていました。しかし、管理継続義務の発生要件や、内容、が明らかでない部分が多かったため、相続の放棄をしたのに過剰な負担を強いられるケースがあると指摘されていました。

そこで今回の改正では、義務の内容などを明確としました。

早速みていきましょう。

 

(相続の放棄をした者による管理)

第940条

1  相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

2  第645条、第646条並びに第650条第1項及び第2項の規定は、前項の場合について準用する。

※赤字部分が新設された規定になります。

今回の改正では、相続の放棄の時に現に占有している相続財産について、相続人(法定相続人全員が放棄した場合は、相続財産の清算人)に対して当該財産を引き渡すまでの間、その財産を保存しなければならないことを明らかにしました。

義務の発生要件

相続の放棄をした者が、その相続放棄の時に、相続財産に属する財産を現に占有していること。

義務の内容

自己の財産におけるのと同一の注意をもってその財産を保存しなければならない。

義務の終期

 相続人または民法第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すことで義務が消滅する。

  

もう一点ご紹介します。

 

不在者財産管理制度及び相続財産管理制度における供託等及び取り消し

家事事件手続法146条の2

 1 家庭裁判所が選任した管理人は不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じた時は、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。

 

2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

 

これは、旧法上の問題として、不在者財産管理人による管理処分等により金銭が生じた場合に職務終了できず、管理が長期化していました。

 

このような事案で不在者の財産の管理を継続するしかないとすると、不在者財産管理人の負担の増加を招くことだけでなく管理費用や報酬が増加しそこには不在者の財産が当てられるなど不在者の利益にむしろ反する結果となってしまう可能性がありました。

 

そこで、今回不在者財産管理人による供託の規律を新設しました。

この供託がされた場合には「管理すべき財産がなくなったとき」に該当し、選任処分の取り消しの審判がされることにより、手続きを終了させることにより、手続きを終了させる事を可能としました。

 

今回はここまでです。

 

 

 

次回は清算人についてです。

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