相続土地国庫帰属法⑤

投稿日:2022年9月29日 更新日:

負担金の納付

 

今回も引き続き国庫帰属についてです。前回までに相続開始により、どの様な土地を国庫帰属させるための申請をすることができるか?その手続きや法務大臣がどの様な調査をすることができるか?など、国庫に帰属するまでの大まかな流れを解説いたしました。

今回は、申請人(土地所有者) が支払う負担金についてです。ここまでお話ししたこの制度は実は無料ではないのです。国に土地を帰す際に、申請人はお金を支払う事となります。

「土地をくれてやるのに!なんで!」と思う方もいるでしょうが、こういった土地はほとんどが価値のない土地であることが多いのです。もし価値があるのであれば、通常ご自分で相続した上で売却や収益するなりすることでしょう。これができない(価値のない土地)なので国庫に帰属させる(国に帰す)ということとなっているのです。

前置きが長くなりました。それでは今回も条文から見ていきたいと思います。

 

(負担金の納付)

第十条 承認申請者は、第五条第一項の承認があったときは、同項の承認に係る土地につき、国有地の種目ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定めるところにより算定した額の金銭(以下「負担金」という。)を納付しなければならない。

 法務大臣は、第五条第一項の承認をしたときは、前条の規定による承認の通知の際、法務省令で定めるところにより、併せて負担金の額を通知しなければならない。

 承認申請者が前項に規定する負担金の額の通知を受けた日から三十日以内に、法務省令で定める手続に従い、負担金を納付しないときは、第五条第一項の承認は、その効力を失う。

 

 

負担金の内容

相続土地国庫帰属法の利用にあたっては、審査手数料(数千円)のほか10年分の管理費用を負担金として国に支払う事となります。

(固定資産税や、単純な管理費。)

費用の目安として、山林や原野ではおよそ20万円、市街地ではおよそ80万円が一般的であるといわれております。

 

※土地の大きさや場所などで上下します

 

 

管理会社が道路や共有施設を管理し、維持管理費用が高額な別荘地、管理分譲地は、該当しません。

 

承認の決定をした後に法務大臣がこの負担金を算定し、申請人に対し通知します。この通知を受けて、1ヶ月以内にこの額を納付しない場合には申請は効力を失ってしまいます。

 

効力発生日

効力発生日はこの負担金を納付した日となります。

 

※農地や森林などに関しては農林水産大臣が管理し又は処分します。

 

また、当然ながら、承認申請者が申請を偽り、その他不正な行為を行なった場合には、法務大臣は申請を取り消すことができます。

その他、職員による調査や、測量、除去又は移転を拒み妨げた場合には6ヶ月以下の懲役、又は、30万円以下の罰金に処す。という罰則もあります。

 

今回で「相続土地国庫帰属制度」はおしまいとします。

またこの法律は施行がおそらく来年となっており、そう近くない将来細かい部分は政令によって補完されていくことかと思われます。そして、施行後5年経った時には状況について検討を踏まえ必要があるときには修正を加えていく。と附則にあります。

いずれにせよ先ずは運用してみて発見された問題点を時間をかけて改善していく事となりそうです。

 

今回はここまでとします。

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