賃貸借契約の保証
保証⑦
今回も保証についてです。もう保証は7回目になりますがもう少し続けていきたいと思っています。よろしくお願いします。
今回は少し味を変えて、賃貸借契約においての保証人についてです。2020年の民法改正において、賃貸借の契約にも影響を及ぼしましたが、賃貸借の保証人についてはどうでしょうか?
本日はこちらにスポットを当ててみたいと思います。
賃貸借契約の契約においての保証人とは
今回は賃貸物件を例にしていきます。
保証人とは借主が家賃を滞納したり、建物、部屋の損傷、汚損等したときに、借主に代わって弁済する義務を負う人のことです。
賃貸物件の場合、借主から家賃が回収できないなどのトラブルが起きると、大家さんの負担が大きくなってしまう為、家を借りる時には必ずと言っていいほど、保証人または連帯保証人を立てることを求められるケースが多いことかと思われます。保証人は、借主が家賃を滞納するなどした場合のみ、代わりに支払う義務がある人を指します。まずは借主に家賃の支払いを請求し、借主本人が弁済期経過後に何度請求しても支払わない場合に、保証人が代わりに支払うことになります。
これに対し、連帯保証人は保証人に比べ借主に近い立場のため、保証人よりも責任が重くなります。
連帯保証人は、借主が家賃を滞納した場合など以外にも、物件損傷の原状回復、騒音トラブルなどについても保証する義務があります。
また、借主と同等の権限を負うため、借主が家賃を滞納した場合、借主ではなく最初から連帯保証人に支払いを求めることができます。
極度額の明記と契約書の締結
連帯保証人の役割については民法の、連帯保証人制度で基本的には定めることになります。
従前は、連帯保証人が負担する債務の額に限度額は設けられておりませんでした。しかし以前より指摘のあった連帯保証人の責任が重すぎることから、今回の民法の改正により2020年4月1日以降に締結された賃貸借契約書では、保証する金額の極度額(限度額)を設けること。と限度額についての内容を契約書に示すことが必要となっています。
賃貸借契約書にこれらのことが記載されていない場合は、契約書の内容が無効となる。と改正されました。
また、家賃に見合わない不当に高い極度額が設定されている場合なども無効になる場合があります。
情報開示義務
今回の改正により、事業のために生じる連帯保証人に対して借主の収入額や負債額などの情報を開示することも義務となっています。
改正前は借主の経済状況が不明なまま連帯保証人になり、結果的に連帯保証人のリスクが高くなってしまうケースが多く非常にリスクある保証契約が多かった様です。
ですが、この改正によって借主と連帯保証人との間のトラブルが軽減され、借主も連帯保証人を依頼しやすくなっていくことでしょう。
ちなみにこの情報を提供せず、また、事実と異なる情報を提供した場合に保証人が誤認したまま保証契約を締結したときは債権者において誤った情報が提供されたことを知り、または知り得た時は、保証人は賃貸人の保証契約を取り消すことができる事となりました。
今回はここまでです。次回は賃貸借契約についての保証の裁判例について改正は影響するか?を見ていきたいと思います。
それでは。