債権譲渡①

投稿日:2021年12月20日 更新日:

今回は民法の債権編についてです。債権とは、「お金の貸し借り」の他にも売買により買主側には代金を支払うと同時に、物の引き渡し債権が発生します。売主側にも同様に、売り物を買主に引き渡すと同時に、代金支払い債権が生じます。この様にお互いに債務を負う契約を双務契約と呼びます。(双方が債務を負う)

 

実はこの様に発生した債権は、相手方の承諾なく自由に譲渡する事ができるのです。

この制度を「債権譲渡」と呼びます。

 

ですが、例えば銀行から借りたお金を反社会性力の方らに肩代わりされてしまってはこれは、たまったもんじゃありません。

そこで基本的には「譲渡制限特約」という特約を結ぶことにより、これを回避する事ができます。

実は平成29年の改正まではこれは「譲渡禁止特約」という制度がありましたが、これは似て非なるもので大変大きな改正でした。(この法を含め明治以来130年ぶりの大改正と呼ばれました。)今回はこの譲渡制限特約についてお話しします。

 

譲渡禁止特約はどう変わったの?

 

  • 従前までは、譲渡禁止特約が付された債権の譲渡は無効と解されていましたが、改正民法では⇨譲渡制限特約と呼ぶ事とし、この特約が付されていても、これによって債権譲渡の効力は妨げられない(有効である)とされました。

    債権の譲受人が譲渡制限特約について悪意または重過失である場合には、債務者は、譲受人に対する債務の履行を拒むことができます。

 

  • 従前の旧民法では、債務者が異議をとどめないで債権の譲渡の承諾をしたときは、債務者は譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができないと定めていました。

 

 

これは例えば、債権者をAとし債務者をBとします。

Aが(旧譲渡禁止特約付き債権をCに譲渡した場合、「Bが譲渡の前に実はAに対して弁済していた!」という事情があったとします。

ですが債権を譲り受けたCはこれを知らず債権を手にしたと勘違いします。

これを債務者であるBが意義を留めずに譲渡の承諾をした場合には債権が復活してしまうという法律でした。

この法律は今回の改正によって無くなりましたので注意しましょう。(令和2年から施行されています。)

 

改正民法では、異議をとどめない承諾の制度を廃止し、債務者が有する抗弁の切断については、抗弁を放棄する旨の債務者の明確な意思表示を必要とすることにしました。

 

 

 

  • 従来の旧民法の下では、債権譲渡の際に債務者が譲渡人に対する反対債権を持っていた場合の相殺権の行使の可否について明確な規定が置かれておらず、ルールが不明確でしたが、改正民法は、債権譲渡の対抗要件が具備される前に債務者が取得した債権等一定の債権について、これを自働債権として相殺できる旨のルールが整理・明文化されました。
    この規定については相殺のお話からしなくてはいけません。よってまたの機会に。

 

 

この様に譲渡禁止特約は譲渡制限特約と、名前を変え、大きく生まれ変わる事となりました。

一見すると、以前より債務者の危険が広がった様にも見えますが実際のところはどうなのでしょうか。

次回はもう少し細かく見ていきます。

 

今回はここまで。

 

 

 

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