その他不動産登記法改正④

投稿日:2022年9月8日 更新日:

被害者保護のための住所情報の公開の見直し

 

今回も不動産登記法のその他の改正についてです。

今回の記事は、暴行事件やDVなどの被害に遭い、加害者などに住所を知られたくない場合の為の対応策として、加害者の夫などが被害者の妻が暴力から逃げた先の住所を登記簿などで調べることができないよう、今回の改正がされることとなりました。

それでは早速条文から見ていきたいと思います。

 

(登記事項証明書の交付等)

第119条6項(新設)

登記官は第1項及び、第2項の規定にかかわらず、登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼす恐れがある場合、またはこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして、法務省令で定める場合において、その者からの申し出があったときは、法務省令で定めるところにより、第1項および第2項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして、法務省令で定める事項を記載しなければならない。

 

背景

第三者に住所を知られると生命・もしくは身体に危害が及ぶ恐れもあるDV被害者等については、役所関連の実務の運用により、前住所を住所として登記することも認めたり、住所の閲覧を特別に制限する取り扱いなどがなされています。

しかし被害者情報の保護対策をより強化、拡充する必要があることから、今回の改正に至りました。昨今では子が親に対してのDV行為も社会問題になっており、痛ましい事件が後を絶ちません。昨年では、宮崎県で義理の息子である夫が妻やその父母に対して日常的な暴力を繰り返し、耐えきれず妻は子を連れ逃げ出しました。逆上した犯人の夫は妻の親族を逆恨みし殺人事件に発展してしまいました。

このような当事者の家族にも被害が及ぶケースが非常に増えています。

DV等被害に遭われている方は家族の住まいについても考えなくてはいけません。今同様の事例にお悩みの方は弁護士、警察にすぐに相談してください。

 

制度の概要

DV防止法,ストーカー規制法,児童虐待防止法上の被害者等について(具体的な範囲は今後、法務省令で規定されることとなります。)対象者が載っている登記事項証明書等を発行する際に、現住所に変わる事項を記載します。

これにより対外的には加害者に被害者の住所が登記事項などからバレることがなくなることと考えられております。

 

※公的機関でも被害相談受付しております。

https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/index.html

現住所に代わる事項として想定される情報

登記名義人の親族、知人等の住所、委任を受けた弁護士事務所や、司法書士事務所、被害者支援団体等の住所、法務局の住所などが、現段階において想定されています。

 

これらの改正点はまだ確定していない事も多く、施行日もまだ未定ですが、凄惨な事件が多い中、早い運用が望まれています。

随時、新たに分かってきた事はこちらでお伝えしたく思っておりますので、ご確認よろしくお願いします。

今回はここまでです。

 

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