所有者不明土地等②

投稿日:2022年5月18日 更新日:

所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令

 

前回に引き続き、今回も所在不明不動産に関してです。ここも大きな改正なので何回かに分けてご紹介していきたいと思います。

それでは早速見ていきたいと思います。

 

所在不明土地管理命令

前回は新たに創設された二つの制度を紹介しました。

❶所有者不明土地・建物管理制度 と、❷管理不在土地・建物の管理制度です。(※前回の記事も併せてご覧ください)

今回は❶の所在不明土地(建物)管理制度についてです。サラッと要件をおさらいします。

要件

所有者不明土地管理命令の申立てをするには、「調査を尽くしても所有者またはその所在を知ることができないこと」「管理状況等に照らし管理人による管理の必要性があること」を要し、また、申立権者は「利害関係人」となっています。

 

それでは、新設された条文を見てみましょう。

(所有者不明土地管理命令)

 

第264条の2

1  裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人(第4項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「所有者不明土地管理命令」という 。)をすることができる。

2  所有者不明土地管理命令の効力は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地) にある動産(当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。

3  所有者不明土地管理命令は、所有者不明土地管理命令が発せられた後に当該所有者不明土地管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び当該所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。

4  裁判所は、所有者不明土地管理命令をする場合には、当該所有者不明土地管理命令において、所有者不明土地管理人を選任しなければならない。

 

1項について。

所有者不明等の要件について

所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき又は必要な調査を尽くしても、所有者の氏名又は名称、存在を知ることができないときをいいます。

また、所有者が法人である場合には、その本店及び、主たる事務所が判明せず、かつ代表者が存在しない、またはその所在を知ることができないときは「所在を知ることができない」に該当します。

 

必要性の要件について

裁判所が「必要があると認める」との要件は、土地管理命令や建物管理命令を発するための要件であり、当該土地の状況を踏まえて判断されます。

 

利害関係人の具体例

  • その土地が適切に管理されない為に不利益を被るおそれがある隣接地所有者
  • 一部の共有者が不明な場合の他の共有者
  • その土地を取得してより適切な管理をしようとする公共事業の実施者
  • 民間の買受け希望者についても一律に排除されるものではない
  • 所有者不明土地を時効取得したと主張する者も利害関係人となり得る

 

誰が管理人として選任され得るか。

不動産の処分の是非について、法的判断が必要となるケースでは弁護士・司法書士を選任することが考えられるとされています。

また、境界の確認等が必要となるケースでは、土地家屋調査士を管理人として選任することが考えられるとされています。

 

 

今回はここまでです。

管理人は、裁判所の許可を得れば所有者不明土地の売却等をすることもできることとなります。これによって公共事業や民間取引の活性化にもつながっていき、所在不明土地を社会で活用していくことが可能となっていくかもしれません。

 

次回はこの続きを見ていきましょう。それではまた。

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