当所では遺言の作成をお手伝いをさせて戴いております。遺言を作成するにあたっての注意点等をここではお伝えしていきたいと思います。
遺言とは?
遺言とは、人が自分の死後にその効力を発生させる目的であらかじめ書き残しておく意思表示のことです。
法的には、遺言は「被相続人(亡くなった者)の最後の意思表示」という定義で、その人の死に最も近接した時点でした意思表示のことを言います。
また「遺言」は、一般的には(ゆいごん)と読まれますが、法律的には(いごん)と読まれます。被相続人が、自身の意図に基づいた遺産の相続をしてもらえるメリットがあるだけでなく、後に残される相続人にとっても無用な争いを最小限化できるというメリットがあります。今回は民法の改正に伴い遺言書について幾つか改正がありました。
遺言の種類
遺言は一般的な普通様式と呼ばれるもので大きく3つの種類に分けられます。
- 自筆証書遺言
- 秘密証書遺言
- 公正証書遺言
注)上記以外の遺言(民法に定められた方式によらずに作成されたもの)は効力を生じ得ません。折角の被相続人の意思が反映されないのは悔いを残します。注意が必要です!
❶自筆証書遺言の特徴
自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で遺言書を作成する形式で、特別な手続きを要せず、最も利用しやすい方法といえます。「亡くなった人の部屋から遺言書が見つかった」など、一般的にイメージする遺言書はこの自筆証書遺言です。
これは遺言者が、遺言全文・日付・氏名を自書し、押印をすることで、その遺言書は遺言としての効力が認められることになります。
自筆証書遺言の注意点
遺言書の一部をパソコンや、ワープロ等で作成した⇨❌
必ず自らの字で書かないと効力を生じません。※改正 遺言書そのものは従来通り自筆でなければなりませんが財産目録にかかる一覧表や不動産登記事項証明書(登記簿)はパソコンやワープロで作成されたものでも可能となりました。但し、その部分に関しては署名及び押印が必要となります。(2019年より施行)
作成日の記載が無い。→❌
以上の様な不備があると自筆証書遺言は遺言としての効力を失ってしまうことがあります。自筆証書遺言を選択する場合は遺言書の書き方を必ず確認しておきましょう。
更に置き場所にも注意が必要です。遺言書を書いても発見されなければ意味がありません。遺言書の保管場所については、事前に信頼できる親族や弁護士などに伝えておく等の配慮が必要です。遺言をよく思わない親族が遺言書を、破棄したり改竄したりするケースが後を立ちません。そこで
※令和2年7月10日から自筆証書遺言書保管制度がスタートしました。この制度を使えば法務局が遺言を安全に保管し、検認も不要となります。更に保管申請時自筆証書遺言書の保管を法務局に申請する際の手数料は1件につき3,900円となります。手数料は申請時にかかるだけで、その後は定期的に保管料を支払う必要はありません。後々の紛争や面倒な検認手続きなどを考えれば法務局に遺言書を預ける事が良いでしょう。
❷公正証書遺言の特徴
公正証書遺言とは、2人の証人が立ち会いの下、公証人が遺言者から遺言内容を聴き取りながら作成する遺言です。作成した遺言書は公証人役場で保管されます。 専門家の元で相続人と確認を取りながら作成する遺言書なので、確実性が高い形式となるでしょう。
公証人が執筆をするので内容に不備が生じる可能性が低く、保管も任せられるので偽造・紛失の心配もありません。また、公証人が遺言能力を一応確認しますので、遺言能力で揉めた場合も有効性が否定されるリスクが軽減されます。3つの形式の中で最も確実に遺言の内容を実現できるのが、公正証書遺言のメリットです。
さらに、遺言書作成に数万円単位の高い手数料が求められるのにも注意しないといけません。
公正証書遺言の費用
公正証書遺言の手数料は相続する財産額によって決定されます。その手数料は以下の通りです。※相続財産が1億円以下の場合は11,000円が加算
相続財産の価額 | 手数料の額 |
100万円まで | 5,000円 |
100万円を超え200万円まで | 7,000円 |
200万円を超え500万円まで | 11,000円 |
500万円を超え1,000万円まで | 17,000円 |
1,000万円を超え3,000万円まで | 23,000円 |
3,000万円を超え5,000万円まで | 29,000円 |
5,000万円を超え1億円まで | 43,000円 |
1億円を超え3億円以下のもの | 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下のもの | 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額 |
10億円を超えるもの | 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額 |
参考:手数料|日本公証人連合会
❸秘密証書遺言の特長
秘密証書遺言とは、遺言者が自分で用意した遺言書を2人の証人と同行して公正役場に持ち込み、遺言書の存在を保証してもらえる形式です。証人と公正人には遺言の内容は公開せず、遺言書があるという事実だけを確実にするのが目的になります。 自筆証書遺言と異なり、署名と押印だけ自分で行えば、後の内容はパソコンや、ワープロ等での作成・他の人の代筆が認められているのも特徴の1つです。
秘密証書遺言を執筆する際の注意点
秘密証書遺言には、11,000円の手数料が必要になります。そのため公正証書遺言の費用よりも割高になってしまう可能性が高いのでご注意下さい。
確実性や安全性だけを考慮すれば、秘密証書遺言よりも公正証書遺言の方が費用的にもお得です。よほど遺言内容を他者に知られたくない事情がない限りは、公正証書遺言を選択することをおすすめします。
といった様に遺言には様々な種類が存在します。
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当所報酬 100,000円
当所で承認を立てる場合 1人あたり10,000円