今回も引き続き共有に関する改正点です。今回も二点
❸管理に関する決議の際に賛否を明らかにしない共有者がいる場合の管理に関するルールの合理化
❹所在等不明共有者がいる場合の変更・管理に関するルールの合理化
をご紹介します。早速みていきます。
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共有物の管理
第252条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第1項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。) は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
2 裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
3 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
4 共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。
樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 十年
前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 五年
建物の賃借権等 三年
動産の賃借権等 六箇月
各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
※2、3、4項は全て新設規定です。
1項は従前からの共有の規定である保存行為は単独で管理行為は過半数で決する。の、
規定に、今回新設された共有物の管理者制度について、その管理者の定め方を規定しています。
更に、共有物を使用する共有者がある場合に共有者間の定めがないままでも持分の過半数で共有者に使用させる旨の決定等が可能となりました。
2項は裁判制度の創設です。
所在不明等共有者や、賛否を明らかにしない共有者がいる場合には裁判所の決定を得て、その共有者以外の共有者の持分の過半数管理に関する事項を決定することができるとしました。これにより、連絡をしても明確な返答をしない共有者がいる場合には裁判所の判断により、当該共有者を、意思決定から除外することができるようなりました。
3項の「特別な影響」とは?
例えばA.B.Cが各3分の1の持分で建物を共有している場合において、過半数の決定に基づいてAが当該建物を住居として使用しているとします。
Aには視覚障害があり、他に住居を探すことが容易ではないのですが、Bが他の建物を利用することも可能であるにもかかわらず、BとCの賛成によって、Bに当該建物を使用させる旨を決定しました。
このようなケースではAに「特別な影響を及ぼす。」と言えるでしょうからAの承諾が必要となることでしょう。
4項 短期賃貸借権等の設定についての記述の整備については持分の価額の過半数で決定することができるようになりました。これは管理行為として賃借権等を設定する場合における存続期間の上限を設けたものです。
今回は以上となります。
また次回も宜しくお願い申し上げます。