外国に住所を有する外国人についての住所証明情報の見直し
今回はタイトルの通り、外国人のする登記申請についてです。従前ではこの点は、登記先例による実務上の取扱いにとどまり、実際にどのような書面が必要になるか、またその正確性がどの程度によるものであるかについても、必ずしも明確でない部分がありました。従前ではどのような書面が必要であって、今回の改正でどういったものが必要になるか?今回は比較して見ていきたいと思います。
不動産登記令の改正による内容
今回の改正では、外国に住所を有する外国人についての住所証明情報に関する規定を整備するものとされたましたが、添付情報の内容等については不動産登記法第26条に政令に委任するよう規定されています。
新たな内容は次の通りです。
住所証明情報とは?
土地や建物の売買による所有権の移転の登記をする際に,売主から買主へ所有権が移転した旨が登記されることになりますが,登記記録に新たに買主の住所及び 氏名又は名称を記録するために,買主の住所を証する情報を提供することとされています。また,相続の登記の申請をする場合は,申請書に不動産を取得することとなる相続人の住所を証する情報を提供することとされています。
この規定は、新たに所有権の登記名義人となる者が、現に存在する者であることを証明するとともに、登記記録上の住所が実際の住所と異ならないことを証するためです。
具体的には,自然人の場合は,住民票の抄本又は戸籍の附票の写しになります(なお、印鑑登録証明書や戸籍の付票など住所の記載を住所を証する情報とすることもできます。)。 また,法人の場合は,登記事項証明書(会社法人等番号)を提供することになります。
これらを住所証明情報といいます。
従前までの外国人の住所を証明する必要な書面
従前の実務においては、外国に住所を有する外国人が所有権登記名義人となる場合に提出する住所証明情報としては、同国の官公署の証明に係る書面又は同国の公証人の証明に係る書面等を提供することとれていました。
(昭和40年6月18日付法務省民事甲第1096号 民事局長回答参照)
外国に住所を有する外国人(法人も含む)が、所有権の登記名義人になる場合の住所証明情報について
- 外国政府等の発行した住所証明情報
- 住所を証明するか公証人の作成に係る書面。(外国政府等の発行した本人確認書類の写しが添付されがものに限る。)とする。
上記が新たな規定です。
実務ではあまり多いケースではないかも知れませんが、試験などには出し易くなる規定ですので覚えておくといいでしょう。
見直しの対象
見直しの対象は外国に住所を有する「外国人」であり、日本人は対象外となります。
外国に住所をを有する日本人が所有権の登記名義人となるなる場合には、住所情報として、住所地を管轄する在外公館から発給された在留証明書等を提供することとされています。(昭和23年1月22日付法務省民事甲第205号民事局長心得回答)
在留証明書は在外公館が発給するものであるため、住所は正確であると考えられています。加えて、そのものが実在することを証明するに足りるものと考えられているため、外国に住所を有する日本人に関する取り扱いは、従来通りとなります。
今回は、ここまでとします。
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