不動産登記法④

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権利能力を有しないこととなったと認めるべき所有権の登記名義人についての符号の表示

 

今回も引き続き不動産登記法の改正論点ですが、今回は一般的にはあまり関係がなく、少し細かい部分で、かつ、施行がやや先の話になりそうです。(5年以内に施行?)が、実務家や受験生にとっては非常に大事な論点でしょう。

不動産登記については権利において現在までは登記義務を課す事がなかったのです。

ましてや職権で勝手に登記官が登記をすることなど、明らかな間違えや裁判事件などを除けばほとんどありませんでした。

今回はその登記官が職権で行う時についてです。条文から見ていきましょう。

 

権利能力を有しないこととなったと認めるべき所有権の登記名義人についての符号の表示

不動産登記法第76条の4(新設)

登記官は所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)が、権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として、法務省令で定める場合には法務省令で定めるところにより職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。

 

概要

登記官が、他の公的機関(住基ネットなど)から死亡等の情報を取得し、職権で登記に表示する(符号で表示)。登記簿上で登記名義人の死亡の有無が確認可能となりました。

 

改正の背景

従前の実務では、特定の不動産の所有権の登記名義人が死亡しても、一般的に申請に基づいて相続登記等がされない限り、当該登記名義人が死亡した事実は不動産登記簿に公示されませんでした。

その為、登記記録から所有権の登記名義人の死亡の有無を確認することができず、民間事業や公共事業の計画段階等においても死亡の有無の確認が可能になれば、所有者の特定やその後の交渉に手間にかかるコストを要する土地や地域を避けることが可能になります。

こうすることにより、以前よりあった事業用地の選定などがより円滑になることから所有権の登記名義人の死亡情報できるだけ登記に反映させるべきであるとの指摘が改善されることとなりました。

 

どのように符号がと表示されるか?

これはまだ具体的には明らかになっていませんが、所有権の登記名義人に関する相続開始の事実を表示する方法について新法では、登記記録上に「死亡」 や 「相続開始」 といった直接的な表情をすることを避け、これに代わる何らかの符号を表示すること (例えば、当該登記名義人の氏名に波線や特定の記号を付すこと等)とし、その具体的な表示の細目については法務省令に委任することとしています。

これは、自然人の死亡の事実が当概自然人の相続人のプライバシーや個人情報として、保護の対象に該当し得ること、遺族の心情に配慮すべき事等を踏まえた制度設計を行うためであると言われています。

 

以上、こちらの制度も施行が5年以内とされている為、まだ先の話かもしれませんが、非常に重要な規定である為、頭の片隅に置いておいてもいいかもしれません。

また表示方法などが詳しくわかった時にはこちらでお知らせさせていただきたいと思います。

 

今回はここまで。

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