相続財産についての共有に関する規定の適用関係
今回も共有の改正についてですが長く続いたこの共有に関する章もこれで最後となります。
最終回の今回は、相続財産が相続人の共有となる時、どのような共有状態になるのか。それは指定相続分であるのか、法定相続分なのか?はたまた、特別受益や寄与分などといった具体的相続分になるのか?
今回の新設規定にて、こちらが明確となりました。早速見ていきましょう。
民法第898条
1 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
2 相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第900条から第902条までの規定に
より算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。
(※1項はもともとある規定で改正はございません。2項赤文字が新設された部分です。)
第2項に書かれている、民法900条から902条は、法定相続分の規定です。例えば、配偶者と、子どもが2人がいるご家庭であれば、配偶者が2分の1、子がそれぞれ4分の1づつの相続分となります。これが法定相続分と呼ばれるものです。
これが共有にも当てはまると規定しました。
一見当たり前な話のようにも見えますが、従前の旧法では、相続財産の共有は、民法第249条以下に規定する、通常の共有とその性質を異にするものではないとされ、遺産共有状態にある相続財産(遺産)の管理行為の規律は、通常の共有における共有物の管理に関する行為の規律に従うものと解されていました。
この点、共有に関する規定は、持ち分の割合に応じたルールを定めていますが相続により発生した遺産共有では、法定相続分・指定相続分なのか?それとも具体的な相続分であるのか?旧法ではどちらが基準となるのかが、不明確でした。
そこで今回の2項により、遺産共有状態にある共有に関する規定を適用するときは法定相続分(相続分の指定があるケースは指定相続分)により算定した持分を基準とすることを明確に新設したわけです。
因みに、903条や、第904条の特別受益や、第904条の2の寄与分を考慮に入れた具体的相続分が相続財産の共有となりません。
法定相続分・指定相続分を基準となりますのでよくよく注意が必要です。
今回は少し短いですがここまでです。
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