民事裁判制度のIT化について

投稿日:2022年4月15日 更新日:

平成16年の民事訴訟法改正により、支払督促などの手続きにおいて一部オンラインの申し立てができる様になりましたが、民事訴訟一般としてはオンラインの訴え提起などは、いまだに不可能な状態です。

世界各国ではアメリカをはじめとして裁判手続きのIT化が普及し始め、近年ではアジア諸国(韓国や、シンガポール)でも急速に進展、拡大しているそうです。

そこで日本も遅れをとりましたが今年の2月に国会に要綱を提出しました。主な改正部分を見ていきましょう。

 

なぜIT化をするのか。

現在の裁判所では紙媒体で訴状を裁判所に提出し、関係書類を紙媒体で保管します。そして原則、本人、訴訟代理人、証人が裁判所への出席を要します。

この紙媒体を電子化しメールでのやり取りをする事で、郵送や、出頭する手間や時間コストの削減につながります。さらに、こういった書面を電子化する事で、保管コストの削減につながります。

当事者、弁護士や証人の出頭に関しても法律事務所や企業の会議室からの参加を可能にし、遠隔に住む人たちにも、裁判所が利用しやすくなり、弁護士にとっても移動時間が短縮され、より専門的な実務に時間を割くことができる様になります。

送達

現在は、郵便によって訴状を被告に交付する方法によって送達をしています。問題点として送達が完了するまで時間がかかる事や費用もかかることが指摘されています。

改正案としては、こちらも通知アドレスの登録制度を設け、そのアドレスに訴状のデータを送り、データをダウンロードするよう通知します。

 

判決

判決書も同じく、紙媒体で作成され、裁判官が記名押印した判決書が当事者に郵便等で送達されます。(裁判所に出頭して受領することも可能です。)問題点としてはやはりこちらも判決書の送達まで時間がかかることや、費用に関しての問題点が挙げられています。

こちらも今後は電子書面に電子署名をした判決書のデータを専用サイトでアップロードし、それを当事者ダウンロードして管理する。といったことになりそうです。

その他、訴訟記録の閲覧についても裁判所に出頭し、書記官に請求しなくてはいけませんでしたが、事件管理システムを作ることによりそこにアクセスし閲覧することができるようになるかと思われます。

また、今回の改正要綱については、親が教育や監護を目的に子どもを懲戒することができる「懲戒権」について、規定を削除することも盛り込まれました。

 

懲戒権とは

・第820条(監護及び教育の権利義務)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

・第822条(懲戒)
親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

 

これは親権を行う為に監護・教育の手段として子に対して懲らしめを行う権利があるということです。

昨今この程度が明らかに行き過ぎた懲戒、親権の濫用によって子を虐待し、行き過ぎた結果死に至らしめる事件が後を絶ちません。

親が子に対する体罰等はこれからは許されない時代になっていく事でしょう。

ちなみに今日ご紹介したものは今国会で議決されます。ご興味ある方は議論の行方を見届けてはいかがでしょうか。

本日はここまでです。

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