債権執行の改正①

投稿日:2021年12月13日 更新日:

今回も前回に引き続き、民事執行法の改正です。債権執行とは債務者が第三者に対して持っている債権を強制執行の対象とするものです。(民事執行法143条以下)。

 

例えば離婚した妻が慰謝料や養育費を支払わない元夫に対して、元夫の給料を差し押さえる時などの場合によく利用される手続きです。こう言った場合に差し押さえられる金額は法律に定められています。

 

  • 手取り額が月額44万円以下の場合

→ 手取り額の1/4

  • 手取り額が月額44万円を超える場合

→ 手取り額から33万円控除した金額

 

上記のように差し押さえを受けたとしても一定の額は手元に残ります。

しかし時に突然に、お金が必要になる時は誰にでも起こりうる事でしょう。

債権者の元妻からからすれば、「そんなもの自業自得」だと言うかもしれません。

ですがお子さんの為にも元夫が心身の健康を保ち、働き続ける必要があります。

元夫が「今月の支払いをもう少し待って欲しい。。」そんな時の為の改正です。

 

改正趣旨

前述しました通り債券差し押さえによって債務者の生活が困窮する事を防止する為、現行法には債務者が差押命令の取り消しを求める制度(差押禁止債権の範囲変更の制度)があります。

しかし、現状では①債務者がこの制度を十分に認識していない、②債務者が申し立ての準備をしている間に差押債権者によって差押債権が取り立てられてしまう、などの理由により、この制度がうまく活用されることが少ない現状でした。

そこで、この現状を改善し、債務者が生活に困窮する事を防止する為、改正がされました。

 

改正内容

差押命令

  • 民事執行法第145条4項[新設]

裁判所書記官は差押命令を送達するに際し、債務者に対して裁判所規則で定めるところにより、第153条第1項又は第2項の規定による当該差押命令の取消しの申し立てをすることができる旨その他最高裁判所規則で定める事項を教示しなければならない。

 

(民事執行法153条)

1項

執行裁判所は、申立により、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して差押命令の全部または一部を取り消すことができる。(以下略)

 

つまり、今回の改正は実は元々存在した

元夫「ちょっと今月は待ってくれ。。」

 

の制度を裁判所は、取り立ての際に、債務者(元夫)に対して教えなくてはダメだよ!という裁判所に義務を課した改正なのです。

ちょっと元夫に寄りすぎなんじゃ?と思うかもしれませんが、結局のところ債務者が困窮した結果、行方不明になり養育費も受けれない方々が現在とても増えています。

また、元妻に財産を隠してあるのに支払わないケースも同じように増えております。

そのような場合には、今回の様な、債務者側に対しての改正だけでなく、債権者によった改正も、同令和2年よりスタートしていますのでそちらもぜひご参考ください。↓

 

以前にお話しした財産開示請求制度も併せてご覧ください。

 

 

本日は以上です。こういった手続きに関しましても当所ではご相談受け付けておりますのでお気軽にお申し付けください。

 

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次回も債権執行に関する改正をもう少しだけご紹介する予定です。

 

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