休眠担保権の抹消について。

投稿日:2022年2月8日 更新日:

令和5年から相続登記が義務化され、相続の登記を放っておくと過料の制裁が与えらることになります。そこで何代に渡って不動産の相続登記を放っておいたツケとして休眠担保権が着いてくる。というケースが多々出てくるでしょう。休眠担保権とは、父や祖父が何十年も前に土地を担保にお金を借りた、又は家を買うためローンを組み、土地と建物に抵当権を設定し、現在もそのままになっているようなケースで既に完済しているかどうかも分からず抵当権者と連絡がつかない。借りた銀行が潰れて存在しない。等の理由により長年に渡り放置されている担保権を休眠担保権と呼びます。通常の抵当権や質権などの担保権は、貸した側と、借りた側で共同でないと抹消する事ができません。こんな時どうしたらいいでしょうか。

 

抵当権者と連絡が取れる場合

何十年も前とはいえ、この場合であればさほど問題なく担保権を抹消できるケースが多いかと思います。ただし抵当権者が、亡くなっており相続人が多い場合、数次に渡り相続が起きているケース等は、手続きが煩雑となってきます。

 

抵当権者の行方が知れない時

この場合に休眠担保権の特例があります。大きく分けて三つの方法が存在します。

 

 

  • 現在の所有者が当時の弁済を証明して抹消登記を申請

 

当時の「借用書」が存在し、「元金」、「利息」の弁済を証明する領収書などを付けて、現在の所有者から抹消登記を申請する方法です。

 

この方法により抹消できるのは、なかなかのレアなケースであるといえます。

そもそも当時の借用書や、領収書が残っている事はほぼ無いでしょう。書類全てが揃うことは奇跡に近いと思われます。

 

  • 裁判所に公示催告してもらう

 

裁判所を通じて、抵当権者に名乗り出てもらうように公示催告してもらいます。この公示催告によっても債権者が名乗り出てこない場合には、除権決定(抵当権消滅)をもらって、現在の所有者が単独で抹消登記申請をする方法です。

時間はかかりますがこちらの方が①よりも現実的であるといえるでしょう。

 

  • 所有者が「供託」して抵当権抹消登記を申請

 

元金と利息・遅延損害金を法務局に「供託」して、その供託証を使って、所有者が抵当権抹消登記を申請する方法です。ただし、弁済期から20年以上経っていないと、この方法は使えません。かつ、債権額が高額の場合には、利息も20年分供託しなくてはなりませんから、かなり厳しい方法です。万が一、後から、抵当権者が「返済されてないよ!!」と名乗り出てきた場合には、供託金から弁済を受け、債権者の保護をする。という方法です。

 

以上のように3つの方法によりこのような厄介な休眠担保権を抹消する事が可能です。今回の相続登記の義務化により、将来的にはこういったケースは少なくなっていくとは思われますが、登記が遅れれば遅れるほど、費用も嵩みますし、将来の子供達のためにも相続登記は早めにしておく事をお勧めします。

 

今回はこの辺で。

 

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