今回も前回に引き続き司法書士試験問題についてです。執筆時は令和3年10月11日です。
この日は合格発表日であり、受験生はドキドキされている方多いことでしょう。
今回は残りの午前科目である会社法と刑法を紹介していきたいと思います。
それではいきましょう。
会社法
問題③ 株式会社は発起人がいなければ設立することができない。
○か×か?
当所でも会社の設立登記を受任しております。詳しくは当ブログをご覧ください。
こちら⇨会社の設立について。起業したいと考える人に真剣に相談に乗ります。 (kubohiro.com)
と、宣伝はさておき、この問題はどうでしょうか?
会社の設立には言うまでもなく発起人の存在が必要です。法人は自然に湧き出るものではなく、「人の意思」により登記された時に初めて法人となります。
その「人」が発起人です。
発起人の資格としては制限がありません。例えば未成年であってもいいし、個人ではない法人でも発起人になる事は可能です。
つまりこの問題は○に見えます。。が!
会社の設立には、以前に当ブログでもご紹介した株式交付の様な組織再編と呼ばれる手続きも含まれます。例えば①新設合併、②新設分割、③株式移転などです。
以下①、②、③のざっくりとした解説となります。
- 新設合併とは会社と会社が合併し新たな会社を設立する組織再編行為の事
- 新設分割とは会社が新たに設立される会社に事業や財産を承継し、会社を設立させる組織再編行為の事
- 株式移転とは既に存在する会社の株式を新たに設立させる会社に全て承継し、完全親会社と完全子会社の関係を作る組織再編行為の事
と、いった上記の様な組織再編行為によっても会社は設立することができます。
そしてこの様な組織再編行為によって行われた設立では発起人は存在しません。
というわけで長くなりましたが正解は×です。
この問題はよくあるひっかけ問題です。ある程度勉強した方であっても、制約された時間内と極度の緊張の中では、こうしたひっかけ問題に引っかかる事は往々にしてあります。
刑法
問題④ 刑法には、国外で刑法上の罪を犯した我が国の国民に対して我が国の刑法が適用される場合が規定されている。
○か×か?
大雑把に言うと「日本人が外国で犯した犯罪には日本の刑法が適用されるか?」という意味です。
刑法3条
この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。
(現住建造物等放火)及び(非現住建造物等放火)の罪、これらの規定の例により処断すべき罪並びにこれらの罪の未遂罪
(私文書偽造等、虚偽診断書等作成、偽造私文書等行使)及び前条第五号に規定する電磁的記録以外の電磁的記録に係る罪
(私印偽造及び不正使用等)の罪及び未遂罪
(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、強制わいせつ等致死傷)及び(重婚)の罪
(贈賄)の罪
(殺人)の罪及びその未遂罪
(傷害)及び(傷害致死)の罪
(業務上堕胎及び同致死傷、不同意堕胎、不同意堕胎致死傷)の罪
(保護責任者遺棄等)の罪及び(遺棄等致死傷)の罪
(逮捕及び監禁)及び(逮捕等致死傷)の罪
(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等、未遂罪)の罪
(名誉毀損罪)
(窃盗、不動産侵奪、強盗)、(事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷)、(強盗・強制性交等及び同致死)並びに(未遂罪)の罪
(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝、未遂罪)の罪
(業務上横領)の罪
(盗品譲受け等)の罪
上記にあたる罪がこの問いに当たります。
という事で、正解は○です。
1981年に起きたロス疑惑という事件をご存知でしょうか?
この事件は著名な日本人がアメリカで妻を保険金目当てで殺害した容疑で逮捕された事件です。これは事件の現場であったアメリカでも裁判にかけられる事となりましたが、もちろん日本においても有罪判決が出ました。
以上、本日はここまでです。