取締役等に関する規律の見直しについて(改正)

投稿日:2021年12月1日 更新日:

今回はかなり会社法に関する細かい部分での法改正ではありますが司法書士試験の受験生にとっては大事な改正です。司法書士試験では、改正点がその年すぐに出題される事はあまり多くありませんが、翌年に出題される事が多々あります。今年の試験に出題される可能性の大きい論点ですので、司法書士受験生の方は今一度確認しましょう。

 

取締役の報酬等である株式及び新株予約権に関する特則

  • 上場会社の会社の取締役の報酬等である株式の特則

 

上場会社が取締役又は執行役の報酬等として、株式の発行又は自己株式の処分をするときは、募集株式と引き換えにする金銭の払い込み又は現物出資財産の給付を要しない事とされた(会社法202条の2第1項、第3項)

 

※上場会社とは?

金融商品取引法2条16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社

 

旧法では株式を無償で発行することは認められておらず、取締役の報酬等として株式を交付するには、金銭を取締役の報酬等とした上で、報酬支払請求権を現物出資によって募集株式の発行をする。いう面倒な手法によって株式を交付させていました。
本改正により、上場会社に限って例外が認められることになります。監査役や従業員への付与は対象外です。

 

  • 募集事項の決定

 

さて、募集事項の決定は機関はどこになるのでしょう。

株主総会でしょうか?取締役会でしょうか?

 

今回の改正は上場会社だけの特則です。上場会社は当然に公開会社ですので⇨取締役会で募集事項の決定をします。

 

※有利発行の場合でも株主総会特別決議は要しません。
これは、払い込みが他の株主において有利になる事はなく、単に取締役への報酬とされているからです。

 

③登記の期間

事後交付型(株式割当前に取締役が役務を提供):割当日から2週間以内
事前交付型(株式割当後に取締役が役務を提供):1回目⇨割当日(株式の増えた分登記をする!):2回目⇨株主資本変動日(事業年度末日)から2週間以内に資本金増額する場合には資本金増額の登記をする。)

 

※事前交付型では先に株式が増えのちに資本金が増える為、2回の登記を要します!

 

④添付書面

.募集事項の決定に係る取締役会議事録
.募集株式の引受けの申込み又は総数引受契約書
.割当ての決定又は総数引受契約承認の取締役会議事録
.資本金計上証明書(資本金の額が増加する場合)

※上場会社であることについての証明は不要(登記記録等から明らかであるため)

 

⑤登録免許税

 

通常の株式の発行と同様に資本金の増えた分×7/1000です。

 

払い込みにおいて資本金を増額しない場合には金3万円となります。

 

以上です。新しい法令の為、まだわからない部分も多い改正点ですが、令和4年の司法書士受験生の方はしっかり押さえておきましょう。

これからも受験生にとっても有益な情報をお届けしたい所存ですのでご覧頂ければ幸いです。

 

本日はここまで。

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