所有不動産記録証明制度の創設

投稿日:2022年9月5日 更新日:

その他不動産登記改正③

 

今回も引き続き不動産登記法の改正です。細かく分けると登記記録に関しての改正となります。

早速見ていきましょう。

不動産登記法119条の2

(所有不動産記録証明書の交付等)

何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めるものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明書」という。)の交付を請求することができる。

2 相続人その他の一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。

3 前2項の交付の請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。
(以下略)

 

所有不動産記録証明制度の制度概要。

これは、全国の不動産から特定の者が所有権の登記名義人となっている不動産を抽出し、それを一覧的に証明する文書を、当該登記名義人本人またはその一般承継人の請求により交付する制度です。

該当がない場合には、該当がない旨のの証明文書が交付されます。

相続登記の申請の義務化に伴い、相続人において被相続人名義の不動産を把握しやすくすることで相続登記の申請に当たっての当事者の手続き的負担を軽減するとともに、登記漏れを防止する狙いがあります。

 

「名寄せ」としての機能

新制度は権利者を単位とする人的編成主義の考え方に基づいて「名寄せ」の制度を導入したものであるといえます。証明の対象となる不動産が市町村の単位に限られない点において土地名寄帳及び家屋名寄帳とは異なります。

 

所有不動産記録証明書の交付請求が可能な者の範囲

ある特定の者が登記名義人となっている不動産を、一覧的に把握するニーズは、広く生存中の自然人のほか、法人についても認められるとの指摘がされていることから、これらの者についても所有不動産記録証明制度の対象としつつ、プライバシー等に配慮して請求の範囲を次のとおり限定することとしています。

・何人も、自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について本証明書の交付請求が可能である。

・相続人その他の一般承継人は、被相続人その他の被承継人に係る本証明書について交付請求が可能です。

どこに請求するか?

人を単位とする情報の検索(名寄せ)をすることができるよう、登記情報システムの改修が実施されることとなりますが、システムの配備の可否や、費用負担等の事情を踏まえて、証明書の交付事務を取り扱うことができる登記所を限定する必要があります。その為、「法務大臣の指定する登記所」のみが請求先となります。

 

具体的な請求方法は?

請求手続方法の詳細は、今後法務省令で定められる事とされていますが、なりすましを防止する観点から、請求人の本人確認を慎重に行う必要があります。そのため土地名寄帳建物名寄帳の写しの交付請求をする際の本人確認の方法に準じて、運転免許証や健康保険証の写し等の提供を求めることにより、本人確認をすることが想定されています。

 

 

法人の代表者が交付請求する場合には印鑑カードの提供を求めることとされるであろうと考えられています。

 

施行日は現時点でまだ定まっていないことから不明瞭な点がまだまだ多いですが、新たに分かっていき次第、こちらで紹介していきたいと思います。

 

今回はここまでです。

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