相続財産の精算
相続法の改正も山盛りです。今回も引き続き紹介していきたいと思います。
今回は相続財産の精算についてです。旧法では、相続人のある事が明らかでない場合における相続財産の精算手続きにおいて、①相続財産管理人の選任の公告、②相続債権者等に対する請求の申し出をすべき旨の公告 ③相続人捜索の公告を順次行う事としていました。
それぞれの公告手続を同時にする事ができないため、権利関係の確定に最低でも十ヶ月間を要するといったような問題点がありました。これでは財産の管理者が不安定なまま、時間が過ぎていってしまいます。
そういった際の改正です。
みていきましょう。
民法第952条
1 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6箇月を下ることができない。
新法の概要としては公告を並行実施して、期間を短縮することができるようになったということです。
今回の改正では、選任の公告と、相続人捜索の公告を統合して一つの公告で、同時に行うものとしました。さらにこれと並行して相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告を行うことを可能としました。
公告を並行実施することで、権利関係の確定に最低必要な期間を合計6ヶ月と短縮して、これに伴い相続財産の管理費用も安く済むことが期待できるようになりました。
名称変更
「管理人」から「清算人」へ名称が変わりました。
以前の当ブログにて解説済みですのでそちらをどうぞ。
958条の削除
旧法下では、「民法第958条の3の審判」を登記原因とし、審判の確定の日を登記原因の日付として、登記原因の日付をして相続財産法人の成立日(亡何某の死亡日)から少なくとも10ヶ月以上経過した後の日付であることを要するものとされていました。
今回の改正で新法のもとではこの期間は6ヶ月に短縮されます。
上記のように3つの公告の相続財産管理人の選任公告と、相続人捜索公告が952条に吸収された形となります。
また、旧民法第958条が削除されたことに伴い旧民法第958条の3の審判新法のもとでは第958条の2に繰り上げられているため、今回の改正により、登記原因は「民法第958条の2の審判」となるであろうとされています。
今回はここまでとします。
また次回も相続編改正進めていきたいと思います。
ぜひご覧ください。