家族信託メリット・デメリットについて その③

投稿日:2021年10月22日 更新日:

今回も家族信託についてです。

前回は家族信託についてのメリット、デメリットを簡単にご紹介しました。

今回は家族信託に当たって気をつけるべき注意点や、費用の相場など見ていきたいと思います。

 

家族信託において注意を要する点

①信託している不動産の損失を別の信託財産で相殺できない

複数の事業をやっている場合に、損益通算や損失の繰越を経営に生かしている方もいます。

ただし家族信託をした不動産については信託していない事業との損益通算ができません。

また信託した不動産事業で赤字が出た場合に繰り越しをすることができない形になります。

そのため、複数の事業を持っている人が家族信託を活用する場合にはリスクも検討して設計をすることをお勧めしています。

②扱えない不動産がある

田、畑については、家族信託をすることができません。

これらの不動産は、農作物を育てるために重要な土地として国として特別なルールを作っています。

そのため、農地は農業協同組合または農地保有合理化法人による信託の引受け以外、原則として信託する事ができません。

③税務申告

家族信託をした場合に、受託者である子どもの手間としてもう一つ発生することとして、税務署へ書類の提出を求められることがあります。

例えば信託財産から発生する収益の額が3万円を超える場合には毎年、信託の計算書を作成し提出する必要があります。

他にも提出書類を求められることがありますので、相談をした専門家に確認をすることをお勧めします。

④信託した財産にはいずれ相続税が掛かる

既述しましたが、家族信託をした場合でも財産権(受益権)を持つ親が亡くなった場合には、相続税と同様の金額を納税する必要があります。

その時に慌てないために、子どもが相続税を納税できるのかは事前にシミュレーションをしておくと安心できます。

上記の注意点は大まかものですので、それを踏まえた上で専門家に相談して下さい。

 

費用の相場は?

専門家にかかる報酬について報酬基準はなく、目的と財産の内容については、高額になることも少なくはありません。

例えば地主さんの様に土地を沢山所有しており、それを信託財産にしようものなら100万円を超えてくることもあるでしょう。

ですが通常の実家を信託財産にしたい様なケースであれば専門家に支払う報酬は約30万くらいといえるのではないでしょうか?

家族信託契約は終わりではなく、スタートになります。

関わった専門家としては、自分が設計した家族信託の利用者と関係を維持できるよう連絡を取り合い、予想外の事態が生じた時にも連絡をもらい対応していくことが求められます。

それが何年も続く可能性があるわけですから、その手続き後のサポートも元の報酬に含んでいると考えていいでしょう。

目の前の専門家が契約後もサポートをしてくれるのかを確認して選んでいく必要があります。

 

家族信託に精通している専門家はあまり多くありませんが、時代の需要に答え、これから増えていく事でしょう。

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