中傷RTに賠償命令

投稿日:2022年2月24日 更新日:

中傷ツイートをリツイートした者が意見の賛同。同趣旨の意見表明とみなされて賠償命令。

Twitterの投稿で名誉を傷つけられたとして名誉毀損の損害賠償請求事件が、昨今増えているようです。

昔であれば週刊誌や小説などで名誉を傷つけられ、さらにはプライバシーの侵害に当たると憲法判断にまで及ぶ裁判がありましたが、昨今ではインターネット掲示板やTwitterなどのSNSでの書き込みが主戦場となっているようです。

今回も前回に引き続きSNS関連のニュースから新たな地裁、高裁判例をご紹介します。

ジャーナリスト伊藤詩織さん性暴力訴訟と名誉毀損事件。

この事件は長期に渡り報道されていることから知らない方も少ない事件ではあると思いますが、ざっと振り返ると。

この裁判はジャーナリストの伊藤詩織さんが2015年、当時、TBSテレビの記者だった山口敬之氏と就職先の相談をするため飲食した後に記憶をなくし、その後、性暴力を受けたと主張し、1100万円の損害賠償を求めたものです。  一審の東京地裁は「酩酊状態で意識のない伊藤さんに合意のないまま行為に及んだ」と認定し、山口氏に330万円の支払いを命じました。

2022年1月25日の判決で二審の東京高裁は、一審と同様に「同意がないまま行為に及んだ」として、山口氏に対しおよそ332万円の支払いを命じました。

一方、伊藤さんが著書などで「デートレイプドラッグを入れられた」としている点については「真実性が認められない」と判断、山口氏への名誉棄損とプライバシーの侵害にあたるとして、伊藤さんに対し55万円を支払うように命じました。

弁護士の若狭さんもこの件にはお互いの言い分をよく聞き事実認定できるものとできないものを分け公平に判断している。と、お話されておりました。

こちらの事件は現在でも裁判中であり、今回の件も山口氏が上告するとのことです。

 

この事件において当初から山口氏は安倍首相に近い存在であり、警察の上総部から逮捕直前に取り消した等、報道が相次ぎました。

さらに安倍首相のファンである方、ネット右翼と呼ばれる団体等から伊藤さんはインターネット上でも批判を受け、誹謗中傷に晒されました。

その多々ある誹謗中傷の中でも強い悪意があったとして漫画家を含む3名を訴え、賠償命令が出ています。

これ自体特筆すべきことではありませんが、内容を見ると、漫画家が書いた伊藤さんを抽象した絵を他2名がリツイートした事に対して賠償命令が出たのです。

更に、安倍首相ファンで有名な自民党の杉田議員がこのツイートを「いいね」していたとのことで、この「いいね」についても訴訟係属中とのことです。

 

絵の内容はたしかに、悍ましい内容のものではありましたが、これを「リツイート」すること自体が意見の表明であり、これ自体が誹謗中傷にあたる。と裁判所が判断したことになります。

さらには「いいね」をすることも、その誹謗中傷の意見に賛同した。と見られ今後賠償責任が課される可能性も出てきました。

 

昨今ではSNSの普及と共に、有名人との距離が近まったことも相まってか、実にこの様な誹謗中傷による、名誉毀損事件が増えている様感じます。

日本ではこういった賠償額もまだ安いことと、プロバイダ開示請求にかかる費用と時間をかけ裁判するには、まだまだ現実的ではありません。

アメリカはさすが↓ですね。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4f132653cbeb1f30509b4060fb9cc3971d543403

 

法務省もこういった事例等に厳罰化する構えを昨年から見せていますが、侮辱罪を懲役刑にするなど、罰則強化よりもまず、賠償命令の額を上げていってほしいと個人的に感じます。

2020年に亡くなったプロレスラーの女性に対し中傷していた男性2人が侮辱罪でそれぞれ科料9000円でした。民事訴訟にて129万の賠償金だった様です。

 

これにはあまりにも安すぎると感じます。

また、逆に事件の加害者側も一度事件が明るみに出て実名報道された時。

一生ついて回ります。罪を償って罰を受けたら生活をやり直す権利は加害者にもあります。

現在そういった加害者のプライバシーを守る為、ネットに残った犯罪歴等を消す専門の弁護士も増えています。

加害者はもちろん、被害者であっても言いにくい悩みでしょうが、まずは専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

誰の目にも触れる形でネット上に誹謗中傷が溢れています。

 

誰かを傷つけていませんか?

 

差別やいじめに加担していませんか?

 

今回はここまでです

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