本日は登記懈怠についてです。
そもそも「登記懈怠」とは?一般的には耳馴染みのない用語かと思われます。
用語の意味としては、登記を申請する必要があるのにこれを怠っている状態をいいます。
不動産の登記(相続登記は2024年から義務化される為、相続の登記をほったらかしにしていると登記懈怠により過料を支払わなくてはならなくなります。
株式会社をはじめとする法人については、法人登記制度(法人登記簿)の信頼保護の観点から、法令上、一定の登記をすべき事由が生じた場合には、一定期間内にその登記を申請すべき義務が課されています。
一般的には、変更等の事由が生じたときから2週間以内に登記申請を行うこととされています。(登記申請期限について、一部例外もあり)
登記申請の実効性を担保するため、このような登記申請義務に違反した場合には、「過料」というペナルティを課すことによって、会社に法人登記の申請を促し、法人登記制度の信頼を保護することとされています。
過料とは?
Q1「過料」とはそもそもなんでしょうか?
昨今、国会で新型コロナウイルスに関連して、特別措置法と感染症法の改正案が成立しました。与野党の協議の中で焦点となったのが、違反した場合の罰則が「罰金」なのか「過料」なのかという点でした。
刑法では上から重い順に↓
死刑(し)
懲役(ちょう)
禁錮(きん)
罰金(ば)
拘留(こう)
科料(か)
市長の金歯高価。と、受験生は覚えます。
それはさておき、過料とは、一定の義務違反に対して課される金銭的制裁で、行政罰の一種であるとされており、上記の刑法や刑事訴訟法でいうところの刑罰には該当しません。
※刑罰である「罰金」や「科料」とは別のものであるため、いわゆる前科がつくというようなことはありません。
過料を支払わなかったとしても労役場に留置される(刑法第18条)といったこともありませんが、違反者の財産に対して強制執行を受けるおそれがあります。
過料の支払義務は誰にあるのか?過料の金額は?
登記懈怠があった場合に過料の対象となるのは、会社ではなく、会社の代表者であるとされています。代表者が複数存在する場合には、各代表者が登記懈怠の責任を負うのが一般的の様です。なお、代表権を有しない取締役については過料の対象にならないとされています。
裁判所から代表者宛てに「過料決定」という表題の文書が送られて来ますが、文書の冒頭部分には「会社法違反事件」という文言が記載されています。
上記の例では過料の金額が5万円となっておりますが、会社法の条文では、「100万円以下」と定められていますが、あくまで上限の金額を定めたものであり、実際に100万円もの過料に処されることはあまり無い様です。過料の具体的な金額については、裁判所が決定することとされています。(3万〜5万が相場?)
一般的に、登記申請期限を超過した日数が長ければ長いほど、悪質とみなされるため、その分過料の金額も高くなると考えられていますが、それでも100万請求される事は無いでしょう。
登記懈怠は過料以外に何か罰則はある?
登記を懈怠した場合には過料の行政罰の他に罰金などはありませんが、例えば大きな法人などであって株主等も多い会社では、コンプライアンスの観点から役員の解任請求や、会社の信頼を損ねた等の理由から株主代表訴訟を受ける可能性もあるため、登記は必ず期限内に済ませましょう。
登記のご相談はこちらまで↓
〒174-0042
東京都板橋区東坂下1-17-20
リーガルオフィス久保寺
司法書士・行政書士 久保寺寛
TEL 03-5918-9452
FAX 03-5918-9457
携帯 070-6521-9452
実は登記懈怠についてはここ最近までちょっとやそっと遅れた程度では、特に過料の文書が届いたという事は耳にしませんでしたが、昨今、国のお財布も厳しいのでしょうか。。
登記懈怠についてはご相談をお受けする機会が非常に増えてきています。
役員の任期については、よく確認が必要です。
本日はここまで。