遺贈による所有権移転の登記手続の簡略化
今回も不動産登記法の改正についてです。
今回は遺贈による所有権移転登記の手続きについてです。
遺贈による所有権移転登記は、登記権利者と登記義務者(遺言をした者と遺言により財産を取得した者)の共同での申請を基礎とし、判決や、法人の合併、相続人に関しては例外的に単独申請することができます。
ここは改正によっても変わることはありません。
ではどこが今回変わったのか?改正点を見ていきましょう。
遺贈による所有権移転の簡略化
不動産登記法63条3項(新設)
遺贈(相続人に対する遺贈に限る)による所有権の移転の登記は、第60条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請する事ができる。
相続人に対する遺贈は単独申請OK
特定財産承継遺言、相続に対する遺贈のいずれによるかを問わずその所有権の移転の登記は単独申請可能とされました共同申請主義(不動産登記法第60条)の例外となりました。
※注意点
・相続人以外の第三者が受遺者である場合の遺贈は対象外となります。
これは、被相続人の財産であった不動産の所有権の移転の登記が、相続人の関与なくして申請されることを認めると、真正に疑義のある事案が生じる懸念があるためです。
遺贈による登記申請の義務化
遺贈による所有権の移転の登記についても、相続登記と同様に申請の義務付けが行われました。
すなわちこれは所有権の登記名義人について、相続人に対する遺贈の効力が発生した場合において、当該遺贈による所有権を取得した者は、自己の為に遺贈があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権の移転の登記をしなければなりません。
こちらも、前回紹介したように、相続登記義務化と足並みを揃え、3年以内に申出(遺贈は移転登記)をすることにより、申請人に義務を負わせることとしました。
以上相続登記の義務化に伴い、遺贈の登記申請にも大きな影響が出ることとなりました。
こちらでも何度もご紹介している通り、相続の登記や遺贈の登記をしないと罰則規定が設けられることとなりました。条文を読んでもぱっと見意味がわからない方がほとんどかもしれません。
これからもこちらで解説していきますのでどうぞよろしくお願いします。
また、登記申請にはかなりの専門的知識と時間を要します。相続によるご自身の大きな財産を守るため、責任を持って専門家が代理致します。
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